海上自衛隊では毎週金曜日のお昼は、カレーが食べられています。
金曜日カレーには二つの理由があって、ひとつは、曜日感覚を忘れないため。
長い航海で、曜日の感覚を忘れないようにとの配慮から。
もうひとつは、カレーは前日から用意ができるし、後片付けも楽なことから、調理員が少しでも早く休めるようにとの配慮があったそうです。
週休二日制が実施される以前は土曜日のお昼ご飯にカレーが食べられていました。
土曜日は午前中までは業務で、午後からお休みだったそうです。
なのでその頃は週末最後の食事がカレーだったわけです。
▲長崎・海軍カレー「ふくろう」の海軍カレー。※残念ながら閉店しました。
海軍カレーの由来
※以下、自著から引用します。
海軍カレーの由来について、佐世保地方隊のウェブサイトなどを通して調べてみました。
それによると――。
旧帝国海軍においては食事が白米中心であったため栄養が偏り、脚気が流行したそうです。
イギリス海軍はビタミン不足を補うため、カレー味のシチューとパンを主食としていて、カレーで味を付けていたのは、牛乳だと日持ちがしない、との理由から。
当時の帝国海軍はイギリス海軍を模範としていました。
イギリス流のカレーシチューを真似したけど、白米によく絡むように小麦粉でとろみを付ける、というアレンジを加え――海軍カレーが誕生したとのこと。
▲護衛艦こんごうで食べた金曜カレー。
1908年(明治41年)の『海軍割烹術参考書』にカレーの作り方が掲載されています。
『海軍割烹術参考書』によると材料は以下の通り。
・牛肉、または鶏肉
・人参
・玉葱
・馬鈴薯(ジャガイモ)
・塩
・カレー粉
・小麦粉
・牛脂(ヘッド)
作り方の意訳
1 米を研ぐ。
2 肉、玉葱や人参、馬鈴薯を賽の目に切る。軽く炒めて、火を通す。
3 牛脂を敷いたフライパンで小麦粉を炒める。きつね色になったらカレー粉を加え、スープを加える。
4 2の肉や野菜を3に加え、弱火で煮込む。
5 スープで米を炊く。
6 4で煮込んだものに塩を加え、味を調える。
7 米とカレーを皿に盛り、チャツネなどの漬け物を添えれば完成。
チャツネとは、野菜や果物に香辛料を加えて煮込んだ、ソース、またペースト状の調味料です。
日本ではあまり一般的ではないため、福神漬けが代用されたそうです。
ちなみにカレーライスの調理法を初めて日本に紹介したのは1872年(明治5年)出版の『西洋料理指南』という本で、食材としては「ネギ、生姜、ニンニク、バター、鶏肉、アカガエル、小麦粉、カレー粉」など。
明治初期のカレーライスは、高級な西洋料理の位置づけで、限られた少数のレストランでしか口にできなかったそうです。
日本の現在のカレーライスは、海軍カレーが発祥……とはいいすぎだけど、太平洋戦争が終わり、復員した兵士たちが海軍式のカレーを広めたという側面はあるはずです。
▲佐世保基地業務隊隊員食堂の金曜カレー。
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