自衛隊の給養員になるには

自衛隊の食事を作る仕事

 自衛隊は、自己完結能力の高い組織です。
 食事も自前で用意します。
 従って、給食関連の職種も存在します。

 実をいうと陸上自衛隊は、糧食(給食)という職種はありません。
 専門教育も――補給がそれにあたるかもしれませんが――直接的な糧食関連の教育は行っていないそうです。
 陸自の場合、調理に当たるのは、基本的に駐屯地業務隊の糧食班の隊員になります。
 ちなみに業務隊は、あまり若い隊員はいません。定年間近の隊員が多いです。
 直長――グループの長は業務隊の隊員で、その下の副直長、直員は臨時勤務、または勤務場所指定で、各部隊から3ヶ月程度の期間を設けて集められている場合が多いようです。
 最近は、陸自の給食関連は、民間委託している駐屯地も多いそうです。

空自と海自は、専門の調理員がいる

 空自と海自は、調理を任務とする職種が存在します。
 空自は、九州の芦屋基地の第3術科学校が給養員課程の教育を実施しています(海自は舞鶴基地)。

 空自や海自の給養員になるには、教育隊で職種の希望を聞かれるので、そのときに「給養員」または「調理員」(名称は異なるかも)を第一志望にすればよいです。
 希望がすんなりと通るかは分かりません。
 部隊の定員や、新隊員の希望数次第です。
 ただ、芦屋基地の現場長が仰っていましたが、かつては給養を希望する隊員は少数だった。いまは、かなり増えている、とのこと。
 なので、ひょっとすると、希望通りにはいかないかもしれません。
 こればかりは運の要素が大きいです。

 さて、晴れて職種が給養員と決まったらどうなるか。
 空自の場合、芦屋基地の第3術科学校の初級給養員課程に入校します。
 教育期間はおよそ5週間です。

 教育開始の時期が決まっているので、もし新隊員教育課程修了時と教育開始の時期がずれていれば、ひとまずは任地に配属となり、任地先の厨房で皿洗いなどを担当します。
 そして時期をみて芦屋基地の第3術科学校に入校します。
芦屋基地の給養員の教育
 ▲芦屋基地の第3術科学校の初級給養員課程。

 給養員課程入校初期は、給養員としての基本を学びます。
 仕事の概要、衛生、栄養、事務といった座学から、実際の調理、包丁の使い方、食材の切り方などの調理実習に移っていきます。
 男女の比率ですが、男性隊員のほうが多いとのこと。

 給養員課程の初級の場合、年間に平均して40名程度の隊員が学んでいるそうです。
 多いときは100名ほどになる年度もあるそう。
 初級は、入隊したばかりの自衛官候補生や、曹候補生が対象です。上級給養員課程は、空曹に昇任した隊員が対象で、こちらは年間30名前後のようです。

海上自衛隊の調理員の場合

 海自の給養員(調理員)の教育は、取材したことはありませんが、恐らく空自とそう変わらないと思います。
 厳密には、海自のほうが専門的なのかもしれません。
 海自の調理員は、艦艇の厨房での勤務もありますから、そういう意味では少し特殊かもしれません。
 海自は海外に行く場合も多く、艦艇にゲストを呼ぶ場合、料理は重要な要素らしいです。
 なので、和食系の、たとえばにぎり寿司とか、お刺身などの盛り付けなども、教育課程の中にあるのかもしれません。これは確かめたわけではなくて想像です。
てんりゅうのご飯03
 ▲訓練支援艦てんりゅうの食事です。

自衛隊の給養員は面白い?

 芦屋基地の、とある厚生関係の幹部自衛官のかたが仰っていましたが、給養の仕事は「モチベーションを保つのが難しい」とのこと。
 つまり、仕事中はずっと食事を作っています。
 職種が給養ということは、ずっとそれが続きます。
 食事を作る仕事は、重要ではあるけど、どちらかというと裏方です。
 モチベーションの維持は難しいのかもしれません。

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