博多署の食堂
博多署の8階にある食堂は一般人も利用することが出来るそう。
「一緒に行きませんか」と忌川タツヤさんを誘った。
忌川さんも「面白そう」と興味を示し、ランチを食べることになった。
金曜日の14時に博多署の前で待ち合わせ。
13時50分。
博多署に向かって歩いていると携帯電話が鳴った。
出てみると忌川さんである。
「もう8階にいます」とのこと。
早い! 一緒にエレベーターに乗って8階まで行こうと思っていたのに。
実は博多署に勤務する警察官に知り合いがいて、あらかじめ食堂の様子などは聞いていたが、署内に足を踏み入れるのは初めてである。
立ち番の警察官に「どういったご用件ですか」とか聞かれたら面倒くさい。
「ご飯を食べに来ました」といえば済む話なのだが……
警察署のエレベーターのかご室には監視カメラがある
しかし警察署の入口に立ち番の警察官はいなかった。
暑いからだろうか。
福岡は35℃越えの猛暑日である。
署内に入る。
役所の雰囲気に似ている。
エレベーターに乗った。
8階のボタンを押す。天井の隅には監視カメラが備え付けられている。
少しドキドキした。
警察署の食堂は……どこだ?
8階に到着。
エレベーターを降りる。
食堂がある気配はない。
あれ? 食堂はどこなんだろうか。
廊下を歩くと「食堂」と張り紙のされたドアを発見。
(ここか……)
私は勝手に、展望レストランのようなものを想像していた。
考えてみれば、そんな大層なものがあるわけがない。
しかし本当にここでいいのか、との疑念もわく。
勇気を出してドアを開けて中に入る。
いざ博多署の食堂へ
「いらっしゃいませー。お1人様ですか」――なんて声はかからない。無言である。
入口から見て左側はオープンキッチンになっており、割烹着姿の中年女性たちが談笑しながら軽作業をしている。
客席の中程のところに、グラサンをかけたガラの悪そうな男が座っていた。
忌川さんである。
ガラは悪くないけど、グラサンのせいでそう見えた。
博多署の食堂にある食券機
▲忌川さんはカツ丼を注文したとのこと。
食券機に向かい合う。
お昼過ぎのためか、売り切れが多い。
カツ丼以外のものを頼まなければならない。
良い年をした男が2人揃って同じものを食べている図は端から見ると怪しい。ネタ的にも面白くない。
結局Bランチ(390円)の券を購入した。
博多署の食堂の様子
簡単に食堂の様子だけ説明しておく。
広さは、1度に50人程度が喫食できるぐらい。
壁一面はガラス窓。
入口の近くに食券機が置いてあり、その隣にはパンやスナックなどの販売コーナーもある。
保冷ケースもあり、中にはジュース、栄養ドリンクなどが並べられている。
チョコパイが1個から買える。
説明終わり。
大江健三郎似の……
忌川さんは、私の後ろの席に座っている男性のことをさし「大江健三郎に似ている」と小声で教えてくれた。
おそらく店主か、店長か、とにかく食堂を取り仕切る人物のようだ。
私は振り向かなかった。
失礼である。
少し時間をおいてそっと確認しよう。
「カツ丼のお客様~」と声がかかる。
ほとんど同時に「Bランチのお客様~」私の分も出来た。
カウンターに出てきた主菜や副菜の皿をトレイに並べる。
ご飯の器は空である。
中年女性に聞くと「ご飯はあちらです」と、窓際に置いてあるジャーを示した。
中年女性は私が初めてだと気づくと甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。ありがとうございます。ご飯はお代わり自由とのこと。
博多署の食堂のBランチとカツ丼
▲「博多署の食堂のBランチ」
Bランチの主菜は赤身魚の煮付け。
付け合わせで茹でたオクラ、春雨の酢の物、卵焼き。
副菜がスパゲティサラダ。
汁物は、麩とわかめとネギの味噌汁。
刻みたくあん。
白ご飯。
博多警察署のカツ丼は……あまりお勧めではない……らしい
カツ丼を食べる忌川さんの表情が暗い。
「美味いか?」と尋ねると忌川さんは少し首を傾げた。「ここでは言えない……」
つまりマズいのである。
マズそうには見えなかったが、美味そうでもなかった。
カツ丼もなかなか奥が深いものだ。
▲「博多警察署のカツ丼」
ちなみに知り合いの警察官はいつも親子丼とかけうどんを食べるらしい。
合計で550円。
野菜も食べたほうがよい。
というか野菜系は、セルフのようだった。
山のようなキャベツの千切りがボウルに置かれていたから。
博多署のBランチの味は?
Bランチの味は? 美味しかった。
価格は390円。
ご飯はお代わり自由。
コスパは良いと思う。
卵焼きやスパサラは市販のものだし、味噌汁も業務用で、味は普遍性が高い。
すごく美味しい、また是非、という味ではない。
腹を満たすだけの料理である。
けれど悪くない。
博多署の食堂はコーヒーが無料で飲める
ふと壁際に目をやると、コーヒーメーカーがあった。
無料、と書かれてある。
忌川氏の秘裂ぺろぺろブログより引用させていただく。
『じつは、食後のコーヒーを無料で飲める。だけど飲まなかった。きっと廣川さんも気づいていたんだけど、お互いに口に出さなかった。たぶん考えていたことは同じである。こんなところで飲めるコーヒーがうまいはずがない。』
私は(ああ、無料なのか、そうか。けど、どうせこのあとカフェに行ってアイスコーヒーでも飲むのだから、わざわざここで飲む必要もない)と考えただけである。
確かに美味しくはない可能性はある。
けど分からない。
ひょっとすると、良いコーヒー豆を使っているのかもしれない。
エレベーターに乗ってから思い出す
食事が終わったので席を立つ。
エレベーターに乗り込んで気づいた。
大江健三郎似の男性を確認するのを忘れた。
次に来たときに確認しよう。
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